はじめに

 はじめまして、勝俣敬史と申します。私は、熊本で「体育の家庭教師」という仕事をしています。地方ではあまり聞き慣れない仕事ですが、運動が苦手な子ども達に、鉄棒、マット、跳び箱、かけっこ、球技、水泳などの体育種目のコツを教え、自信をつけて学校体育に臨めるようにするスタジオを運営しています。

 2021年10月に発表された文部科学省による不登校の調査にて、全国の不登校児童生徒数が19万6千人を超え、過去最高を毎年更新していることがわかりました。学校に行けない、行きたくない児童生徒が「学校には行かない」という選択ができるように、文部科学省がフリースクールでの出席扱いとなる基準を設けてはいるものの、まだまだフリースクールの数が足りません。

不登校の児童生徒や保護者の悩みは多種多様・十人十色で、これという型で解決できる問題ではありません。その子に合った居場所が必要なのです。

①心身の健康を維持すること。

②社会に出て役に立つ学びができること。

③成長し続けることができる居場所であること。

そんなフリースクールを立ち上げたいと考えていました。

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勝俣敬史(かつまた たかふみ)

 

1973年熊本市生まれ。

日本体育大学を卒業後、テニスコーチなどの職を経て、2008年にダブルワークで体育の家庭教師を始める。2016年の熊本地震により、活動を休止。家と仕事を失い、大手大学進学予備校の講師として2年間勤務。2019年、脱サラし、熊本市中央区に少人数制運動教室「体育の家庭教師ジャンプアップ」を開業し活動を再開。2020年、一般社団法人日本運動支援協会を設立。保育園・幼稚園・小学校への出張指導や熊本市のスポーツ推進及び総合型地域スポーツクラブの運営にも携わる。

解決したい社会課題

 

「不登校問題は、いつでも誰にでも訪れる可能性がある」

 あなたのお子さんが突然「学校行きたくない」と言ったら、あなたはお子さんに何と言いますか?

全国の不登校児童生徒数は20万人に迫る勢いです。(文部科学省令和3年10月13日『令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要』より)

 

この数年は更に急増していることがわかります。

同調査で、不登校の原因・きっかけを聞いたアンケートでは、様々な要因があることがわかるものの、最も割合が多いのは、「本人に係る状況、無気力、不安」という項目です。不登校になるきっかけはあるものの、なんとなく違和感や不信感を抱いているケースが半数近いことが見て取れます。

 

我が子が突然「学校行きたくない」ということは、誰の家庭にも起こりうることなのです。

 

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学校に行くことだけが正解ではない時代へ

 

 現在では、フリースクールに通い、学校と家庭と連携を取っていることなどを条件として、学校長の判断にて出席扱いになるようになりました。学校に行かなくても良いという選択肢がようやく定着していこうとしています。相談先としても、学校以外の場所として、無料で相談できるフリースクールも増えてきました。

 

不登校経験者の3つの後悔

 

 不登校経験者の5年後を調査したアンケート(⽂部科学省「不登校に関する実態調査平成18年度不登校⽣徒に関する追跡調査報告書」(2014年))によると、

学力不足のまま大人になった

 

運動能力が低下してしまった

 

社会性を身につけておけばよかった

 

という後悔を口にします。少し古いアンケートですが、これが最新データです。

でも、これって不登校だから?って感じてしまいます。

この後悔、どれかは多くの人が持っているものではないでしょうか?

つまり、この3つの後悔、学校に行くかどうかに関わらず、やっておきたいことではないかと考えます。

 

その子に合った居場所が必要

 

 子どもが持つニーズは多種多様です。抱えている問題も一人一人違います。それなのに、みんなと同じ、どこに行っても同じという、学校スタイルのフリースクールでは意味がありません。

子ども一人一人が違うように、フリースクールも違ったものが存在しなければなりません。

コンビニやラーメン屋さん、スーパーなどお店は選べるのに、フリースクールは選べるほどない・・・これでは、本当にやりたいことを見つけることや、やっぱりこのフリースクールは合わないというときに変えることもできません。もっと気軽に、簡単にフリースクールを利用できるように、数を増やすべきだと思います。そして、様々な特色をもったフリースクールが存在するべきだと考えます。

きっかけ③家族の絆

 私の父は、熊本大学で半世紀に渡り、自殺の研究をし、不登校問題に取り組んでいた人でした。現在は熊本大学の名誉教授として名前が残っていますが、静岡県の実家でコンピタンス心理学センターの所長を務めています。心理学者だった父は、私が何をやっても「生きてりゃ良いよ」、「好きにしたら良い」と、高校も大学も、自分のやりたいこと進みたい道全てを、私がやりたいようにやらせてくれました。おかげで、全く勉強しない時期もありましたが(笑)、それも良い意味で後悔となり、大人になって死ぬほど勉強しました。

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▲父と少年時代の私

 私は、12年前に離婚しています。この時期は本当にどん底でした。1人いた息子とは会うことがないまま10年ほどが経った時、息子から連絡がありました。なんとなく近況を報告し合い、10年振りに会うことになりました。彼は、私が知らない間に、幼少期から始めたダンスにて、特待でニューヨークにダンス留学をしていました。中学を中退して留学していたそうで、3年半の留学帰国後に、大検を受けて大学受験したそうです。息子は現在成人しており、一緒に「体育の家庭教師」をしています。まさか一緒に仕事をするようになるなんて、12年前の自分・・・いえ、再会する寸前の自分では想像もつきませんでした。

父の想い、息子との再会・・・このことが、家族の絆の大切さ、強さを感じさせてくれました。きっとこの想いは、多くの不登校の子どもたち、保護者に伝わってくれる・・・

「生きてさえいれば何かを起こせるかもしれない!」

「家族は何があってもずっと繋がっている!」

そう信じています。

フリースクールにかけた想い

 

ー具体的な活動の内容

「居場所」をつくりたい!

私が考える居場所とは、「自分らしく、成長していける場所」です。そういう居場所を作りたいと考えています。

 

「自由」を追求したい!

自由とは、「自分が得意なこと、好きなことで、人の役に立つこと、世の中に貢献すること」だと思っています。一人では生きていけないと思っていますので、それぞれが得意な事で助け合い、支え合いながら生きていくものだと考えます。

 

体育で「夢中」にしたい!

体育・芸術・国際・社会をテーマにしたフリースクールです!

まずはいつ行っても良い。行きたい時に行くフリースクール。朝から、行きたいなっとなれば行けば良い。フリースクールに着いたら、やりたいことをして心を落ち着かせます。

そして、体育の時間です。マット運動や跳び箱、鉄棒、バドミントン、トランポリンなど、場合によっては、近くのグランドや体育館まで行って体を動かすこともあります。体を動かすとなんだかすっきりしますよね。運動不足を解消する目的もありますが、運動をしている間は夢中になれます。

 

体育には夢中にさせる力があります。体育大学を卒業し、体育の家庭教師としてたくさんの子ども達と共に夢中になってきたからからこそ、この力を使って、夢中になれる時間を作りたいと考えたのです。

他にも、タブレット端末を使って、イラストを描いたり、アニメを作ってみたり、陶芸に挑戦してみたり、様々な国の人と会って異文化を学んだり、色んな職場を体験して、将来やりたいことを見つけたり、子ども達が夢中になれる様々な仕掛けをしていきます。

 


ー実現したい変化

夢中になれる時間が増えると、嫌なことも考えなくなる

自分の将来に対して、「今何ができるのか?」を共に考え、そして、将来は「自分の好きなこと、自分が得意なことで、人の為に・社会の役に立てる」大人になってほしいと思います。それこそが私が考える「自由」だからです。一人では生きていけないと思っています。だからこそ、自分の得意分野で助け合って生きていける社会にしていきたいと思います。夢中になれる時間が増えれば増えるほど、今だけに集中できます。その積み重ねが未来を作る・・・そう思っています。

私がフリースクールを立ち上げたきっかけ

 

きっかけ①不登校Aくんとの出会い

 体育の家庭教師をしていると、体育が苦手で学校に行きたくない・・・という悩みをよく耳にします。4年生のAくんもその一人でした。彼は、「自分がいじめられるのは運動が苦手だから」と思い込んでいました。成績は優秀で、算数のドリルや国語の問題集など、半年から1年以上先の物を解いていました。

マンツーマンのプライベートレッスンを始めて1ヶ月ほど経った時、彼のお母さんから、「楽しいからもっと行きたいって言うんですよ」と嬉しいお言葉。それから週2回、プライベートレッスンを行うようになりました。それから数ヶ月経ち、学校に行くようになったのです。安心されたお母様はパートの仕事を始めました。ところが、また学校に行かない日が次第に増えていきました。平日の昼間学校に行かない間、お母様はお仕事に行っており、自宅ではお菓子を食べてはゲームをし続けるという日々が続きました。週2回の夕方はレッスンに来て体を動かしていましたが、次第に体重も増えていきました。

見かねたお母様から、平日の日中にプライベートレッスンができないか頼まれました。私は週に3回、日中のプライベートレッスンを受けることにしたのです。体を動かして、増えた体重はどんどん落ち、絞れて行きました。そして苦手だった跳び箱や鉄棒をどんどん出来るようになっていき、自信を取り戻したAくんは自ら学校に通うようになりました。その間、私は1度も学校に行くように勧めませんでした。学校には行かなくてもよいと思うけど、義務教育だから勉強はしなきゃねって。勉強道具を持って来て、体を動かした後に勉強をするようにしていました。算数の難しいドリルもどんどんこなしていました。

実は、Aくんのお母様はプライベートレッスンのために、月5万円以上のレッスン料を払ってくださっていたのです。同じ悩みを抱えている保護者はもっといるはず・・・マンツーマンではなく、数人が一緒に、いられる居場所があればもっと安くできるはず!そう感じたのでした。

きっかけ②不登校に関するニュース

 2021年10月、文部科学省による不登校の調査が発表されたことで、熊本においても不登校児童生徒数が急増していることを知りました。ニュースでは、コロナの影響を匂わせるようなニュアンスでしたが、実際コロナの影響はわかっていません。そして調べを進めていくと、小中高生の自殺者数が過去最多になっていることがわかりました。

学校でしか学べないことが多くあることはわかります。でも、命を落とすリスクを背負ってまで行く必要はないと強く感じたのを覚えています。